猟銃の身辺調査を受けて教習射撃認定資格を取得するための手引き

身辺調査について

身辺調査を待っている教習射撃認定資格申請を実施した人(猟銃等講習会考査の合格者)や、これから猟銃を所持したいと考えている入門候補者の人々へ、当編集部のメンバーが実際に所轄警察署による身辺調査を受けた結果を基に、開始から完了までの身辺調査情報をお知らせします。

また、初めての銃砲所持許可更新を目前に控えている人も、改めて確認することができる無いようなので参考にしてみてください。

身辺調査を受けるには?

身辺調査を受けるには、教習射撃資格認定を申請する必要があり、そのためには猟銃等講習会の考査(講習受講および筆記試験)に合格する必要があります。

身辺調査を実施するのは公安委員会ですが、実際に身辺調査を実施するのは、住所地を所轄する警察署の生活安全課や保安課の担当警察官です。

身辺調査が開始されるまでには、下記のステップを踏む必要があるので、どうしたらいいかわからない状態の人は、本記事を参考に準備をしながら担当の警察官の人に段取りを確認することを推奨します。

身辺調査を受けるまでの流れ

  1. 必要書類を揃える
  2. 所轄の警察署に申請する
  3. 自宅調査の日程を調整する
  4. 自宅調査を受ける
  5. 近隣住民への聞き込み開始
  6. 友人/職場の人への聞き込み開始
  7. 警察署の担当者から公安委員会本部へ情報伝達
  8. 公安委員会本部で審査が行われる
  9. 所轄の警察署に通達が入る
  10. 申請者に「教習射撃資格認定」の結果が届く
ハンター亮

身辺調査を受けて、教習射撃資格認定を受けるまでの流れは上記の通りです。ここからは、各ステップの概要/ポイント/注意事項について、詳細な解説をしますので要点を抑えて効率的に進めていってください。

身辺調査(教習射撃資格認定申請前)までに必要な書類 [STEP1]

身辺調査は、射撃教習資格認定を得るために欠かせないステップです。その手続の中で、最も重要なことは、近隣住民(賃貸在住の場合は大家さんを含む)/友人/職場の人との人間関係が良好であるかや「自分が他人からどう思われているか」ということですが、次に大切なことは、欠格事由に該当していないかを証明することです。

猟銃を所持する許可を得る前に、あなた自身が、通常は所持することを許されていない『実銃』を持つことを許可するに値する人物なのか、事故や犯罪を起こす可能性は無いかを見極めるのが身辺調査です。

この段階で、欠格事由の内容についての知識に自信がないという人は、下記のリンクから欠格事由の具体的な内容を確認してから先へ進んでください。

銃砲所持許可の欠格事由

上記リンク先には、クレー射撃編と明記されていますが、実際には銃猟免許を目指す人も共通する視点で判断されるので基準を確認しておくことが大切です。

教習射撃資格認定申請前に必要な書類

教習射撃資格認定を受けるために必要な、身辺調査にたどり着くためには、まず先に面倒でも必要書類を一式揃えなくてはなりません。

  1. 写真2枚
    提出前6ヶ月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の30×24mmのもので、裏面に氏名及び撮影年月日を記載したもの。
  2. 精神保健指定医、かかりつけ医等の診断書
    統合失調症、てんかん(意識障害をもたらすもの)、その他自己の行為の是非を判別し、若しくはその判別により行動する能力を失わせ、若しくはしくは著しく低下させる症状を呈する病気認知症や薬物中毒)に該当しないかどうかについて当該医師の意見が記されているもの。提出後希望すれば原本は返還されます。提出日において作成日から3か月以内であれば再提出が可能です。
  3. 同居親族書
    (様式は警察署にあります。)
  4. 市区町村長が発行する身分証明書
    破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の証明書。本籍地の市区町村長
      が発行します。
  5. 住民票の写し(本籍地の記載のあるもの)
    現に猟銃・空気銃の所持許可を受けている者は添付の必要はありませんが、猟銃空気銃の所持許可証の提示が必要です。
  6. 講習修了証明書
    猟銃等講習会受講終了時に交付された「講習修了証明書」(認定時において交付の日から3年以内のもの)提示するだけでよい。
  7. 経歴書
    職歴、住所歴、猟銃等所持歴、犯歴等(様式は警察署にありす。)

医師からの診断書について

正直、医師からの診断書は、精神科医に限られるものと判断していましたが、かかりつけ医であれば問題ないということがわかり、日頃から家族一同がお世話になっているお医者さんにお願いして、質問に回答するカタチでの問診を終え、無事に診断書を発行していただくことができました。

※.健康で医者に世話になっていない人は、精神科医の診断を受けるのが良いですが、一番のおすすめは、地元猟友会や銃砲店のお客さんが診断書の作成をお願いしているお医者さんを紹介してもらうことです。(慣れているという意味として捉えてください。)

所轄の警察署に申請する [STEP2]

身辺調査を受けるのは、教習射撃認定資格を得るためなので、必要書類が揃った段階で所轄の警察署の担当者に状況を伝え、教習射撃認定資格をゲットしたい旨を伝え、選考開始をお願いすることとなります。

この段階で、本格的な面談(面接)を受け、どうして銃砲所持許可が必要なのか、何が種目的なのかといったヒアリングを受けます。この質問内容は、公安委員会で定める内容に限らず、担当する警察官の判断により自由度高く変容することを肝に銘じましょう。

その後、家族/会社の人/近隣住民、各3名の「氏名/続柄/住所/電話番号」をひな形に筆記するように指示を受けるので、あなたのことをよく知っている信頼できる人物を選んで記述します。

狩りガール・久美

身辺調査で最も大切なのが、この申請のステップで、あなた自身の日頃からの行いの結果がもろに出る部分となります。賃貸物件に住んでいて、住人と接点がないという点について、公安委員会は現代の潮流を理解してくれるので、その際は、職場の人や友人の人数を多めに記述するようにしましょう。(筆者は、担当の警察官より、賃貸物件に住む人については、合理的観点から属性の方よりが認められることを確認しました。)

※.予告なく変更さる場合がありますが。

自宅調査の日程を調整する [STEP3]

身辺調査を受けることが確定した段階で、担当の警察官の人から、自宅調査の日程についてアポイントメントを調整してくれます。この日程は、警察官の通常営業日である平日となるので、サラリーマンの方は、有給取得をするなどしての調整となるので、この段階で、非常にハードルは高くなるでしょう。

ハンター亮

そうなんです…。身辺調査に限らず、銃砲所持許可を受けるには、平日の8:30-17:30あたりの時間帯を自由にできることが必須条件です。そのため、リタイアした人や法人の経営者、個人事業主が有利になってきます。

自宅調査を受ける [STEP4]

本格的に、自分以外の人に対する「自分自身の身辺調査」を受ける段階に入ると、いよいよ、猟銃を保管する場所である自宅に入っての調査が開始されます。

自宅調査は、所轄の警察署の担当者、補助要員の状況(事件発生の場合は少数になることも)に応じ、確保できる人員で行われます。主には、主担当者である警察官が、公安委員会の命を受け、あなたの自宅が猟銃を保管するに相応しいかどうかチェックします。

この段階で、既に多くの書類を提出し、費用もかかっていますが、担当する警察官の人にとってはプラスアルファのタスク追加であるということを忘れないでください。

猟銃は、普通は持てないことになっており、銃砲所持許可は例外的に猟銃の所持を許可する特別なルートであるため、通常業務外であるという風に認識して接遇することをおすすめします。

狩りガール・久美

お客様根性を遺憾なく発揮するような、常識を逸脱した人は、この段階で排除される可能性があります。(いちいち言いたくないですが・・・理由は、)銃を持つということは、お客様根性を発揮するような、他人任せの人には許可できないからに他なりません。

ポイント

同居親族がいる人は、その家族に対しても身辺調査が入ります。

近隣住民への聞き込み開始 [STEP5]

自宅調査を受けたあとは、すぐに、「所轄の警察署に申請する」のステップで自分が書いた、近隣住民の情報に基づいた近隣順民への聞き込み調査が開始されます。

近隣住民への聞き込み調査は、平日に実施されるため、必然的に留守の人が多くなります。テレワークの人が多い場合でも、会議中などの理由により、訪問してきた警察官に対応できない人が出るということは事前に把握しておきたい留意事項です。

リスト外の住民へ対象拡大

事前に提出した近隣住民リストの対象者へのヒアリング(身辺調査)を実施できない場合、本人に確認の上で、リストに名の挙がっていない近隣の人へのヒアリングが開始されます。

その場合、『他の人にも聞き込みをしていいですか?』という確認が入るので、日毎からご近所と良好な人間関係が築けている人は、快諾するでしょうし、不安のある人は、友人や職場の人の人数を増やすなど交渉をするようにすることとなるでしょう。

※.担当の警察官により対応は異なります。

友人/職場の人への聞き込み開始 [STEP6]

友人や職場の人を通じた、あなた自身の身辺調査は、主に電話を通じてのヒアリングとなります。その理由としては、相手は社会人であり、各々の都合で動いている可能性が高い上、近隣に住んでいるような住人のように、すぐに訪問できないということが挙げられます。

自分自身の趣味や使命感に基づき取得しようとする、銃砲所持許可は、クレー射撃競技、ライフル射撃、銃猟の3種に分かれますが、いずれも、持っていなくても生活に支障がないものです。

これらのことを踏まえ、友人/職場の人に対して、自身の銃砲所持に関して聞き込み(身辺調査)が入ることは、事前に伝えておくことで、『急に連絡が来て8~15分も時間を取られた』という迷惑とならぬよう配慮しておきましょう。

豆知識

  • 電話は8:30~16:30に掛かってくる。
  • 電話番号は警察署の固定電話か業務用携帯電話
  • 受電者は8~15分程度のヒアリングを受ける
  • 友人/職場の人の発言は身辺調査の結果に影響する

上記の豆知識については、事前に友人や職場の人など、身辺調査に協力してくれる人には伝えておいたほうがスムーズにいくでしょう。ただし、情報統制や箝口令(かんこうれい)を敷くような不適切なことは、絶対に行わないようにしてください。

通電率向上のポイント

友人の携帯電話に留守電が入っていた場合、折り返しは、警察署が開庁している時間帯08:30~16:30の間をお願いするようにしましょう。

警察署の担当者から公安委員会本部へ情報伝達 [STEP7]

近隣住民/友人/職場の人に対して、『◯◯さんはどんな人ですか?』『日頃から挨拶はしますか?』『情緒不安定な人ではないですか?』『◯◯さんが猟銃を所持しようとしていますが、持たせても大丈夫そうですか?』といったようなA4用紙1~2枚分(1件分あたり)の質問がなされた後、公安委員会本部に情報が寄せられ、審議入りとなるそうです。

つまり、ここからは、公安委員会の人が、どう判断するかということに委ねられ、アンコントローラブルな状況で、1~1ヶ月半を過ごすこととなります。

この段階で、心がざわつくような人付き合いの人については、今後の人との関わりを大切にすることを推奨しますが、あくまでも、ご自身が積極性を保ち、再現性のある範囲で行うことを推奨します。

公安委員会本部で審査が行われる [STEP8]

公安委員会では、あなたについて身辺調査した結果が伝達され、過去~現在に至るまでの事故や犯罪について、自分だけではない他者の行いを加味しての厳正な判断が行われます

猟銃を所持するということは、一歩間違えれば、人名に悪影響を及ぼす人を増やす可能性があることから、安易に特例である『銃砲所持許可』を与えるわけにはいかないわけです。

当たり前ですが、自分自身が、身辺調査を受けるために必要書類を手に入れるための時間/金/労力を使うと、どうしても受け身になりがちです。

この段階で、射撃教習認定を受けられない場合、ご自身の人付き合いや性格、素行についてを見直す必要性を認められたということなので、無理に進めて3年後の更新で許可が降りないという悪夢を未然防止するために無理に進めないことをおすすめします。

銃砲所持許可の欠格事由

所轄の警察署に通達が入る [STEP9]

身辺調査により収集された情報と、あなた自身の身元情報、過去の犯罪歴などを含め総合的な審査を実施した結果が所轄警察署の担当者に通達されます。

この段階で、いわゆる『合否』が確定することとなります。

申請者に「教習射撃資格認定」の結果が届く [STEP10]

全ての身辺調査を経て、あなたの元へ担当の警察官から、教習射撃認定の結果報告の電話が入ります。この段階で『審査通過(合格)』が確定すれば、晴れて、教習射撃資格の認定を下してもらえることが確定するので、事務手続きへとステップすることができます。

一方、この身辺調査をクリアできなかった場合、警察官の口から不許可(不合格)となった理由を一つ一つ確認することはできないことになっています。

その場合、ご自身が最も理由がわかるのではないでしょうか。

心当たりがある場合、直ちにそれを改善して再調査を願い出るか、猟銃等講習会の考査通過後の有効期間を超過する前に、しっかりと改善してから再調査を願い出るかになるでしょう。(詳細は所轄の警察署にお問い合わせください。)

※再調査・拡大調査で通る可能性は低い場合が多いという話もあります。

連絡が来ない場合

待てど暮せど、担当の警察官から連絡が来ない場合、何かしらの拡大調査や審査遅延が発生している可能背もあるので、自分から電話で状況を確認してみましょう。

身辺調査に関するまとめ

猟銃の所持許可を得るまでには、今回紹介したような「教習射撃認定資格」をつかむなど、各ステップが大掛かりなのでハードルは高いといえます。

その分、銃砲所持許可が下りたときの喜びはひとしおといえるでしょう。

今回のように、身辺調査の流れだけも10ステップを紹介していることからも、ここのステップの重要性、それぞれに事前に知っておくことで流れが変わる部分があったのではないでしょうか。

これから、射撃や銃猟に挑戦しようとする段階では、様々なハードルがありますが、ひとつひとつ丁寧にやっていくことが大切です。身辺調査は初回だけではなく、所持許可取得から3回めの誕生日の有効期限を前にした更新の際にも、同様の身辺調査が行われます。

心身ともに検討で、近隣住民はもちろん、職場の人や友人との良好な人間関係は欠かせない要素です。今まで、あまり関心がなかった人も、所持許可や狩猟免許の取得を機会に、他人とのリレーションシップを楽しむ生活へシフトしてみてはいかがでしょうか。

最後まで御覧いただき有難うございます。お役に立てておりましたら幸甚です。

身辺調査に関しての「よくある質問」

身辺調査はどのタイミングで受けますか?

猟銃の身辺調査は、教習射撃認定資格申請が完了した後に実施されます。これは、初心者向け猟銃等講習会の考査に合格した人と、銃砲所持許可を受けてから3回目の誕生日を迎えるに際して更新申請をした後に実施されます。

身辺調査は誰に対して行われますか?

猟銃の身辺調査対象者は、同居親族、近隣住民(ご近所さん)3名以上、職場の人3名以上、友人3名以上の計9名以上の人(協力者)を対象に実施されます。その対象者は、あなた自身が選択することができ、予め担当の警察官に「続柄/協力者氏名/電話番号」といった情報を提供し、そのリストを中心に実施されます。

身辺調査は誰から始まるの?

猟銃の身辺調査は、まずあなたの自宅から始まり、近隣住民→友人→職場の人というような順序で始まります。ただし、友人と職場の人に対して、どのタイミングでヒアリングをするかは担当の警察官自身が決定します。

ご近所さんが不在の場合はどうするの?

身辺調査の際、指定したご近所さんが不在の場合、あなたに対して「他の近隣住民をまわってもいいですか?」と聞かれるので(担当者により振る舞いが異なる)、あなたが了承すれば他のご近所さんに調査対象を広げて実施されます。

身辺調査にルールはありますか?

はい、あります。警視庁では、各方面に対して「銃砲刀剣類の所持許可に関する各種調査の実施要領について」という通達を発し、どのような要領で身辺調査を実施するのかや留意事項について伝達しています。(カッコ内の文言を検索するとPDF文章が見つかるでしょう。)