クレー射撃を始めるために必要な、銃砲所持許可証の申請~取得までの流れ、競技種目の概要など初心者に欠かせない知識を解説します。
まずは、クレー射撃の種類「トラップ/ダブルトラップ/スキート/フィールド」の4種目について知っていきながら、免許や銃の購入などに掛かる費用を詳しく理解していきましょう。
この記事では、クレー射撃の競技選手を目指す方、趣味として射撃をしてみたい方を中心とする初心者向けにわかりやすく解説していきます。
- クレー射撃ってなに?
- 始めるにはどうすればいいの?
- 期間や費用はどれくらい掛かる?
- どんな手続きや資格が必要?
- 免許なしではできないの?
本記事の執筆ポリシー
この記事の中では、行政のルール上で必要とされる個性的な言語表現はそのままに、解説については可能な限り専門用語の理解を必要としないよう説明して参りますのでご安心ください。
目次
クレー射撃とは?
クレー射撃は、画像にある素焼きの円盤型標的『名称:クレー』を散弾銃で撃破して点数を競うスポーツなのでクレー射撃と呼ばれています。
昔は「アオバト(blue pigeon)」を標的にしていたことから、ディスク自体を、クレーピジョンとも呼びます。
クレー射撃について(どんなスポーツ競技か)
クレー射撃とは、オリンピック公式種目で、JCSA(日本クレー射撃協会)によれば、世界の競技人口は約500万人、日本の競技人口は約12万人が活動しているスポーツです。競技には、散弾銃(ショットガン)が用いられ、標的は「直径11センチメートルの円盤(クレー)」を撃ち落とします。
規定される銃の種類(タイプ/口径など)は細分化された競技種目により異なります。
- 水泳「約1,200万人」
- サッカー「約436万人」
- バスケットボール「約218万人」
このように、クレー射撃の競技人口は、他のオリンピック公式種目になっている人気競技の人口と比べて圧倒的に少数となっています。
またクレー射撃を始めるには、散弾銃を持つために必要な『銃砲所持許可』を取得できる年齢等の条件面が厳しいことも相まって、学生を含む若年層の新規参入にハードルとなっています。(大学や協会の支援がある人もいるようです。)
そのような事情が一因して、クレー射撃選手の年齢層は、他の競技に比べミドル層が主体という高年齢スポーツ競技となっています。人口が少なく、練習環境も限られており、他の競技で一度は諦めた選手生活を目指す人にとっては『逆にチャンスにもなり得る条件』がクレー射撃にはあるといえます。
そのクレー射撃には、「トラップ」「ダブルトラップ」「スキート」「フィールド」の4種類の競技がありますので、それぞれどんな種目なのか初心者向けに解説していきます。
補足説明
オリンピック正式種目となっているクレー射撃の種類は、『トラップ射撃』と『スキート射撃』の2種目のみです。競技選手は、ISSF(国際射撃連盟)の国際ルールに則り競います。ここでは、ラビット射撃についての紹介は行いません。
クレー射撃の種類(競技種目)
クレー射撃には、4つの種類がありますので、それぞれについて概要と特長を解説していきます。これから、クレー射撃を始める入門者の人は、まずどんな競技種目があるのかや、ルールをカンカンにでも把握するして、どの競技に挑戦するかの比較検討の材料として参考にしてみてください。
トラップ射撃 [クレー射撃の種類 1/4]
オリンピック種目
トラップ射撃とは?
トラップ射撃というのは、射手が横一列に設置された5つの射台を移動しながら、立ち位置から15メートル先に配置されたクレー(皿)を射出する装置(クレー投射装置)から飛ばされる目標を打ち砕く競技のことです。
トラップ射撃の特長
- 射手が構えた状態でコールする。
- 射出する装置が声に反応して発射。
- クレーは上下左右ランダムに飛ぶ。
- 1ラウンド25枚を射撃する。
- 射台は5ヶ所×クレー1枚を5ラウンド。
トラップ射撃で使用する銃は、散弾銃(ショットガン)で、1回のクレー射出で発射される1枚のクレーに対して、2発まで発砲することが許されており、見事に打ち砕ければ得点が加算されます。
ダブルトラップ射撃 [クレー射撃の種類 2/4]
ダブルトラップ射撃とは?
ダブルトラップ射撃というのは、横一列に配置された射台に射手が立ち、5つある射台を左から順に移動しながら2枚同時発射されたクレーを射撃する競技のことです。クレー投射装置は各射台に対して3台設置されており、合計15台の装置が地下にあり、射手のコールを合図に1~3秒程度の間にクレーが発射されます。
ダブルトラップ射撃の特長
- 2枚のクレーを2発の弾で撃破。
- 射台の数が15台ある。
- 予選3ラウンド/決勝1ラウンドで競う。
- 複数1位がいる際は失中者から脱落。
- 射出方向は「左と中央/右と左/右と中央」
クレーは遠方に発射されるため、射手が散弾を発砲するタイミングが遅れるほど、その距離と角度は開いていくこととなります。
スキート射撃 [クレー射撃の種類 3/4]
オリンピック種目
スキート射撃とは?
スキート射撃というのは、射手が半円状に設置された8つの射台を移動しながら、センターポール目掛けて飛んでくるクレー(皿)を撃破する競技のことです。スキート射撃でも、クレーを飛ばすタイミングは、射手によるコールが合図となります。
スキート射撃の特長
- 1標的1発の発射がルール。
- 射台が半円状に並ぶので角度がつく。
- 射出方法は右方向「プール」と左方向「マーク」の2種類。
- ダブルという2毎同時射出がある。
- 最大6人同時にプレーする。
トラップ射撃と違うところは、1~8番の射台に立った際、角度や距離が異なるため難易度が高いという点です。また、スキート射撃の場合、1枚のクレーに対して発射できる弾は1発という違いもあります。
フィールド射撃 [クレー射撃の種類 4/4]
フィールド射撃とは?
フィールド射撃というのは、トラップ射撃/ダブルトラップ射撃/スキート射撃の3種類のクレー射撃競技のミックスで競う種目ですが、主に日本国内で行われている競技で、猟友会の人たちも練習目的で実施することがあり各々の競技ルールがあるため、クレー射撃競技の中でも特に知力・技量・冷静な判断が求められます。
フィールド射撃の特長
- クレーを獲物に見立てて競技する。
- 実猟練習向けに簡素化されたルール。
- 基本的なプレーは各競技種目と同じ。
- 主に鳥獣を意識した射撃をする。
- 日本独特の競技種目であるとされる。
フィールド射撃は自由度が高い種目で、射撃場やグループ単位で細かなルールを変えて楽しんでいるという話を耳にします。欧米での競技人口は、トラップやスキートよりも多く、非常に人気の高い射撃種目です。
クレー射撃には「銃砲所持許可証」が不可欠
クレー射撃を始めるに際して、専用の免許や資格は必要ありませんので、免許なしで競技を始めることができます。ただし、クレー射撃をするためには散弾銃が必要なので、その実銃を持つためには『銃砲所持許可』を受ける必要があります。
必要なのは免許じゃなくて「認定や許可」
クレー射撃には免許制度がないと先述しましたが、講習会や教習といった『教わる』という動作は必要で、都度ある試験で合格する必要はあります。そのため、クレー射撃を始めるには、修了証明書/認定書/許可証を取得する必要があるので紹介します。
- 講習修了証明書
- 教習資格認定書
- 猟銃用火薬類等譲受許可証
- 教習修了証明書
- 譲渡承諾書
- 銃砲所持許可証
このように、目的がクレー射撃をすることであったとしても、本物の銃を使う以上は、どうしても銃砲所持許可が必要になってきます。
実際に資格や免許といった制度ではないものの、交付元となる公安委員会としては、市民生活の安全を確保する必要があるので、所持者をよく審査したり試験への合格を求めるなど一定のハードルがあるということは理解しておきましょう!
クレー射撃を始めるまでの流れ
クレー射撃を始めるには、銃と弾の所有が欠かせず、他人が所有する銃砲に第三者が操作することは厳しく禁じられているので、国内での実弾射撃体験会やレンタルは存在していません。
そこで、初めて射撃に挑戦する場合は、初心者講習会(猟銃等講習会)へ参加して座学・実地・実技試験の過程を通過する必要があります。
そのため、すべては、初心者講習会の申込みをすることからスタートすることと決まっています。先述した、銃砲所持許可は、今から紹介するクレー射撃を始めるまでの流れ『STEP1~9』の中で、申請から取得までを解説するので参考にしてみてください。
ここからは、実際にクレー射撃を始めるには、どのような流れで物事を進行していけばよいのかについて解説していきます。主に関わってくる自分以外の存在は、「公安委員会」「警察署(生活安全課)」「銃砲店」「射撃場」の4者です。
各種、必要書類/準備物/手数料等の費用を中心に、詳細に掲載しておりますので参考にしてみてください。
初心者講習会 [クレー射撃を始めるまでの流れ 1/9]
STEP1
銃砲所持許可を取得するためには、あなたの住民票がある地域の警察署へ『初心者講習会』への参加を申し込むことから始まります。
一般的な社会人向けセミナーの類とは異なり、講習会の最後には筆記試験が行われ、50問『〇×形式』による出題方式の問題を制限時間1時間以内で回答します。
合格には45問以上の設問に正解する必要があるので、全体の90%の問題をクリアすることで合格することができます。合格率については、その時々で50%のときもあれば、90%のときもあるという情報が流布されています。
初心者講習会は、公安委員会が主催する『猟銃等講習会』のことを指しています。募集時期や人数が都道府県単位で異なるので、下記の記事を参考に、効率よく申し込みができるよう参考にしてみてください。
▼初心者講習会についての諸情報
項目 | 内容 |
---|---|
申し込み先 | 所轄の警察署「生活安全課」 |
会場 | 警察署内/指定される施設内 |
募集頻度 | 都道府県内で毎月1回程度 ※.地域差あり |
定員枠 | 20名程度 ※.時期や会場による |
開催曜日 | 原則「土曜日」 ※.地域差あり |
必要書類等 | ・初心者講習受講申込書 ・証明写真×1枚 ・印鑑(三文判) |
受講料 | 6,800円 ※.申込時に納付 |
受講日時間割 | 【午前】講習受講 【午後】筆記試験 |
学習テキスト | 申込時に警察から支給 |
当日の持ち物 | ・猟銃等取扱読本 ・ボールペン ・印鑑 |
残念ながら筆記試験で「不合格」となった場合は、振り出しに戻ることとなりますので、再度、勉強し直して初心者講習をうけることとなります。午前中の講習の中で、教官の人が「これは試験にでますよ~」といっていた部分を重点的に勉強し直してリトライしましょう!
STEP1-1:講習修了証明書
初心者講習を終えて、午後の筆記試験で90%以上の正解率を出せた人には、当日中に「講習終了証明書」が発行されます。この証明書の有効期限は『発行日から3年間』です。つまり、クレー射撃を始めるために最低限必要な公安委員会発行の許可証である「銃砲所持許可」を取得するには、初心者講習の修了証明書発行から3年以内に全ての過程を終わらせる必要があるということです。
念の為の補足ですが、銃砲所持許可を受けるのに3年も掛ける人は殆どいないのでご安心ください。相手が行政なので、民間企業と比べると審査などに時間は掛かるものの、コンスタントに行けば2~3ヶ月程度で許可は下りる傾向があります。
STEP1-2:教習資格認定書
教習資格認定書とは、初心者講習会の筆記試験に合格して、講習終了証明書を手に入れた人が次のステップとなる『教習射撃』へと進むために必要な書類です。
この段階で、銃砲所持許可を申請する予定の人物が、実銃の所持を許可するのに適しているかの『身辺調査』が入ります。
身辺調査は、ご近所さんや職場に至るまで、何食わぬ感じで『あなたがどのような性質の持ち主かを確認する質問を第三者に投げかける』という方式で行われるようです。日頃からの人間関係は、このような時に、あなたへ帰ってくるので不安な人は事前に周知しておくことも大切ではないでしょうか。
項目 | 内容 |
---|---|
申請先 | 所轄の警察署「生活安全課」 |
必要書類等 | ・教習資格認定申請書 ・証明写真×2枚 ・医師の診断書(発行後3ヶ月以内) ・住民票(本籍地/家族全員分記載) ・身分証明書(本籍地の市町村役場発行) ・講習終了証明書 ・経歴書 ・同居親族書 |
手数料 | 8,900円 |
交付期間 | 30日以内 |
教習資格認定書の取得が完了すると、いよいよ、クレー射撃による教習射撃を受けることができます。その際、教習射撃を請け負っている射撃場を探して、予約を取ることととなります。今回は、クレー射撃をはじめる人を対象にした解説ですが、エアライフル(空気銃)の所持許可には教習射撃は必要ありません。
STEP1-3:猟銃用火薬類等譲受許可証
教習射撃へ進む段階で、実際にクレー射撃による教習を実施するには、どうしても実弾が必要となります。しかし、この段階では、銃砲所持許可をもっていないこともあり、火薬類等譲受許可証を一時的に取得する必要があるのです。
項目 | 内容 |
---|---|
申請先 | 所轄の警察署「生活安全課」 |
必要書類等 | ・猟銃用火薬類等譲受許可申請書 |
手数料 | 2,400円 |
要するに、警察側から言わせると『教習射撃するために実包が必要だから買ってきていいよ~。』という許しを与えるといった形になります。
火薬類等譲受許可証は、教習射撃を請け負う射撃場での教習を無事に終えた段階で不要となるため、所轄の警察署へ返納することとなります。
装弾購入 ≪教習射撃参加用≫ [クレー射撃を始めるまでの流れ 2/9]
STEP2
装弾購入(STEP2における)は、指定を受けている射撃場で『教習射撃』を受ける際に使用する、実包(実弾)を購入する段階です。
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類等 | ・猟銃用火薬類等譲受許可申請書 ・教習資格認定書 |
教習射撃は、トラップ射撃かスキート射撃のいずれかで受講できますが、どの種目で挑戦するかによって購入する弾の種類が異なりますので必要となる費用にも違いが生じます。また、射撃場によっては当日の実包購入ができない場合もありますので、事前に問い合わせ、必要に応じ近場の銃砲店で購入することを推奨します。
STEP2-1:クレー射撃種目ごとの散弾について
▼使用する散弾の種類
項目 | 内容 |
---|---|
トラップ射撃の散弾 | 9号(直径12mm)を使用 |
スキート射撃の散弾 | 7.5号(直径2.41mm)を使用 |
▼使用する散弾の値段相場
散弾サイズ | 値段の相場 |
---|---|
9号(直径12mm) | 35円~ /1発 |
7.5号(直径2.41mm) | 35円~ /1発 |
クレー射撃に用いる散弾(実包)は、箱の中に入っている実弾の数が多いほど、単価が下がる傾向がありますので教習射撃に必要な許可数量は『100発』なので、少しでもお得な費用を実現するためには可能な範囲でお多めに購入しましょう!
教習射撃 [クレー射撃を始めるまでの流れ 3/9]
STEP3
教習射撃は、実施を受け付けている射撃場で受けることができます。予約は自分でする必要があるので、待っていても指定されたりすることはないのでご注意ください。
実施日は射撃場により異なり、当日の実施内容は「座学/射撃練習/実技試験」の順に行われます。所要時間は3時間程度ですが、実技試験に不合格となった場合は、再試験を受けることも可能なので、その場合は少し時間が長引くことになります。(別日の可能性もあり)
実技試験は、練習射撃の最終ラウンドで行われ、『トラップ射撃:25枚中2枚命中』『スキート射撃:25枚中3枚命中』すれば合格となります。
▼当日、持参するもの
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類 | 教習資格認定書 |
受講料 | 30,000円~ |
その他 | 筆記用具/耳栓 |
▼教習射撃当日に散弾を購入する場合
購入には『猟銃用火薬類等譲受許可証』が必要ですので持参してください。
STEP3-1:教習修了証明書
教習射撃を受けて、実技試験に合格すると、当日、射撃場から『教習修了証明書』が交付されます。この書類の有効期限は1年間。この段階までくれば、銃の所持許可を申請する資格を満たしたということになり、1年以内に銃を手に入れる手続きを進めることになります。
※有効期限を過ぎると資格失効となります。
購入する銃の申請 [クレー射撃を始めるまでの流れ 4/9]
STEP4
銃を購入する手続きを始められる条件が整ったので、いよいよ欲しい銃を購入するステップへと移行するわけですが、ここで大切なことは下記の5点です。
- 使える銃は自分のものだけ
- 銃選びの相談は銃砲店へ
- 所持許可交付まで35日程度
- 自宅に保管設備の審査が入る
- ガンロッカーの準備も同時を推奨
▼銃の申請に必要なもの
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類 | ・銃砲所持許可申請書 ・講習修了証明書 ・教習修了証明書 ・譲渡承諾書 ・証明写真×2枚 ・医師の診断書 |
手数料 | 10,500円 |
警視庁 生活環境課 銃砲刀剣類対策係が、ホームページで公開している、診断書についての要件がありますので事前に確認しておきましょう。
「診断書」は、
精神保健指定医
精神科、心療内科、神経内科等を標榜し、2年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有する医師
過去に申請者の心身の状況について診断したことがある医師(歯科医師を除く。)
のいずれかが作成した診断書で、申請日において受診日から3か月以内のものとなります。
警視庁ホームページ
過去に申請者の心身の状況について診断したことがある医師の診断書を提出した場合には、過去の受診記録が証明できる書類等(初診日が記載された診察券、過去の領収書等)を提示していただきます。
※診断書については、教習資格認定の申請でつかった書類が、発行から3ヶ月以内であれば同じものを再提出することができます。
特殊なケースを補足
引越しなどやむを得ない事情で、教習修了証明書が交付され1年を経過していない人が、それまでの手続きを申請してきた公安委員会とは異なる先へ銃の所持許可を申請する場合、『住民票/身分証明書/同居親族書/経歴書』を提出する必要があります。
銃砲所持許可証 [クレー射撃を始めるまでの流れ 5/9]
STEP5
銃砲所持許可証は、「STEP4:購入する銃の申請」が完了してから35日以内にが交付され、自分の住所地を管轄している警察署の生活安全課での受け取りとなります。(詳細は「STEP7」で解説)
この段階では、銃砲所持許可には「確認」という欄が空欄のままです。確認は所持する予定の銃を、警察署に持参して担当官にチェックをしてもらった後、日付を記載してもらうことができます。
※銃の購入(銃砲店からの引き取り)は所持許可証交付日より3ヶ月以内
申請銃の購入(引き取り) [クレー射撃を始めるまでの流れ 6/9]
STEP6
いよいよ、銃砲所持許可を申請する際に購入を決めていた、自分の銃を銃砲店へ受け取りに行きます。この段階で、所持許可発行から3ヶ月を過ぎないよう注意しましょう!
銃砲店では、銃の仕様についての説明、取り扱い方法、警察署へ銃の確認をしてもらう際の注意事項などを教えてくれます。
最後に、書類一式(引渡し書、譲渡書、譲渡証明書等)を渡してくれますので、内容に間違いがないかの確認を行います。
その後、銃を譲り受けてから14日以内に、自分の住所地を管轄している警察署の生活安全課へ出向いて『銃の確認』を受けましょう。
生活安全課の担当者さんと話をする際は、「ハッキリ・丁寧・誠実に」を大切に接して、銃を持たせて大丈夫な人物であることを証明できるようにしてください。乱暴な言葉づかいや、邪な所持理由を述べると、不適格者と判断されかねませんので、どんな質問をされてもキチンと応答することが大事です!
銃の確認 [クレー射撃を始めるまでの流れ 7/9]
STEP7
銃の確認は、自分が住んでいる地域を管轄する警察署の生活安全課へ、銃砲店から購入して受け取った銃(クレー射撃の場合は散弾銃)を持参して行われます。
主なチェック内容は、銃の全長/銃身長/口径/シリアル番号などの仕様面で、「STEP4: 購入する銃の申請」のときに届け出た書類の内容と、持参した銃との間に間違いや不適切要素がないかを確認する中身となっています。
銃を警察署へ持参する際は、しっかりとケースに入れて、すぐに取り出せない状態で持ち運んで安全を確保します。銃やケースの種類によって、対策が異なる場合があるので、購入店舗で教えてもらいましょう。
▼銃の確認に必要なもの
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類 | 銃砲所持許可証 |
持ち物 | 購入した銃(散弾銃) |
※.確認の前に心配なことは銃砲店にアドバイスをもらう手もあります。
STEP7-1:火薬類等譲受許可証
火薬類等譲受許可証というのは、実弾(実包)を購入できるようにするための許可証のことで、有効期限は1年ほどとされています。初年度は、購入できる弾数に制限が少なく設定され、その数量は地域差があるので、銃を購入した銃砲店から事前に説明されるのが一般的です。
この許可証は、「STEP7:銃の確認」と同日に交付されない場合がありますので、仕事やプライベートで時間的な余裕が無い方は、事前に警察署へ連絡して対応について質問しておくと良いでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類 | ・猟銃用火薬類等譲受許可申請書 ・銃砲所持許可証 |
手数料 | 2,400円 |
装弾購入 [クレー射撃を始めるまでの流れ 8/9]
STEP8
装弾購入というのは、文字通り、自分の銃に合う仕様の弾を購入しにいくことです。
銃のタイプやメーカー、商品についても異なりますが、銃の中には複数の種類の弾に対応できるものがあるので、弾選びについては銃砲店のスタッフさんに相談しながら、目的に合ったものを選ぶようにしてください。
一度に購入できる弾の限界は『800発まで』となっており、自宅に保管することが許されている弾数のマックス値として覚えておきましょう。
▼装弾購入に必要なもの
項目 | 内容 |
---|---|
必要書類 | ・銃砲所持許可証 ・猟銃用火薬類等譲受許可証 |
装弾購入に際しては、購入年月日、数量、譲渡人(銃砲店)の記入&押印などを、火薬類等譲受許可証してもらい購入完了となります。
弾の管理について
いざ射撃場で弾を打っていると、自分が何発の弾を使用したのかが、わかりにくくなってしまうので、銃砲店や射撃場などで管理簿を手に入れて記録するようにしましょう。
射撃場デビュー [クレー射撃を始めるまでの流れ 9/9]
STEP9
ここまでくれば、晴れて射撃場デビューとなり、思う存分、クレー射撃を楽しむことができます。
射撃場の中には、クレー射撃ができない施設もあるので、住まいから近い射撃場の中からクレー射撃ができる施設を選びましょう。
トラップ射撃・スキート射撃では、設備が異なることから、片方だけできるという場合もありますので、その点についても要チェックです。
流れや注意点、アドバイスなど、クレー射撃を始める方法についての解説はここまでとなります。
▼銃砲所持許可の費用総額はこちら
クレー射撃場見学の勧め
- クレー射撃に興味がある
- どんな風にプレーするか知りたい
- 危険じゃないか不安がある
- どんな人がやっているか観たい
- 試験前にイメージ作りしたい
いままで銃を扱ったことがないと、クレー射撃という競技のルールはもちろん、手間のかかる講習参加や各種手続きをする価値があるのかわからないものです。
しかし、銃砲の世界は法律で縛られている部分が多く、国内では体験するという願いは叶いません。
そこで、実際に射撃場を見学して、場の雰囲気を感じながらイメージトレーニングをすることをおすすめしています。初心者講習会で緊張しないために事前見学するのもいいですね。
実際に銃砲所持許可を得て、銃を購入すると20万円程度のコストが掛かるので、あとになって「クレー射撃は自分には合わない…」と残念な気持ちにならないために、事前にどんなスポーツであるかを知るために射撃場を訪問することには勝ちがあると考えます。
射撃場を見学する方法は、「銃砲店の射撃会に同行する」「友人に連れて行ってもらう」「直接連絡して見学させてもらう」の3つがありますので、ご自分にとって気持ちがのる方法を選んで行ってみましょう。
クレー射撃を始めるならグループ加入がおすすめ!
クレー射撃は一人でも楽しむことができるスポーツでが、紳士のスポーツと言われる「射撃」の世界では、射撃場でのマナーやルールなど異なる常識をもつ人たちが共通のポリシーのもと楽しむことも大切だと言われています。
何より大切なのは安全に競技を楽しむこと。
そのためにも、先に始めている人たちから、クレー射撃についてを教わることは安心に繋がり、腕を上げるための近道にもなるので団体やグループへの加入をおすすめします。
特に、スタートしたばかりの人や、選手を目指していない人は銃砲店が組織している会に入会すれば、イベント情報が届くようになるので、都合の良い時に参加できて便利です。
他にも、都道府県などエリアごとに「クレー射撃協会」があるので、そちらへ加盟して仲間をつくったり、大会に参加するなど楽しみ方や教わり方には様々な方法があります。
友人や家族に、クレー射撃をやっている人がいる場合は、まずは身近な人から教わる方法も良いでしょう。
自分にあった方法で、入門時代を有意義な時間にすることができれば、長く楽しめるのではないでしょうか。
補足
各種団体等への加盟や、公式戦への出場などには、費用がかかることを予めご了承ください。金額は各々に全く異なるので、各団体やクラブの入会金・年会費・参加費をご確認ください。
クレー射撃を始めるのに掛かる費用
クレー射撃を始める、つまり第一回目の自由な射撃場での練習までに、いくらの費用がかかるのかについて計算してみました。
【費用合計】約20万円
上記、合計金額の内訳についても詳細に分類しましたので、どんなことに費用がかかるのかチェックしていきましょう。ちなみに、初回のクレー射撃以降は、必要な道具なども揃っているのでこんなに掛かりませんので、ご安心ください。
公的機関手続き等に掛かる費用「74,000円」
項目 | 金額 |
---|---|
初心者講習会 | 6,800円 |
教習資格認定 | 8,900円 |
住民票×1通 | 400円 |
証明写真×5枚 | 600~1,200円 |
医師の診断書 (2回提出) | 12,000~20,000円 |
猟銃用火薬類等譲受許可証 | 2,400円 |
教習射撃 (装弾購入費含む) | 30,000円~ |
銃の申請 | 10,500円 |
火薬類等譲受許可証 | 2,400円 |
診断書について
医師の診断書が必要となるのは「教習資格認定の申請」「銃の申請」の2回です。発行から3ヶ月以内に銃の申請まで進んだ場合、同じ診断書を再提出することができるので、節約になりますが、有効期限を過ぎると再度診察からやり直しです。
散弾銃・装弾、その他に掛かる費用(初回までに12万円以上)
項目 | 金額 |
---|---|
散弾銃(中古銃) | 60,000円~ |
装弾(1発) | 32~50円 |
ガンロッカー (装弾庫含む) | 50,000円~ |
射撃場利用料 | 500円~ |
イヤーマフ | 2,000円~ |
ベスト | 5,000円~ |
クレー(枚) | 36円~ |
例えば、クレー射撃【4ラウンド】入場料:500円、クレー代/100枚:5,000円程、弾:7,000円程が最低でも掛かります。他には交通費や食事代など、頻繁に射撃場へ行く場合は、このような金額が毎回必要となるイメージでいれば間違いないでしょう。
まとめ
クレー射撃を始めたい人向けに役立つ情報を包括的にまとめてきました。
編集部としては、クレー射撃が金持ちのスポーツと揶揄される所以がわかったように感じました。クレー射撃を競技選手としてプレーして結果をだすためには、毎日のように練習する必要があり、弾数も尋常ではない数量が必要です。
また、交通費や宿泊費、大会への参加費もばかにならないでしょう。
ただし、趣味としてクレー射撃を楽しむのであれば、1回あたり12,000円程度からできるので良い趣味になると思います。
どんな趣味でもそうですが、のめり込んで本格的な道具や設備を用意して、トレーナーを付けたりすれば普通の会社員では捻出できないレベルの費用が発生します。だからこそ、競技選手にはスポンサー企業の存在があるわけです。
今回の記事は、初めてクレー射撃をやってみようと考えている人を主な対象に作成しました。掲載している情報は可能な限り詳細なデータを心がけましたが、様々なご意見や地域などによる違いがあることも承知しております。
実際にチャレンジする際は、近場の銃砲店へ相談しながら、自分のアクティビティに合いそうなジャンルを見つけることをおすすめします。それでは、素晴らしいガンライフをお楽しみください。
クレー射撃についての「よくある質問」
クレー射撃は、散弾銃をつかって「クレー」と呼ばれる[直径]11cm [厚さ]25mmの円盤を撃ち抜く競技です。日本国内での競技種目は4種類あり、トラップ/ダブルトラップ/スキート/フィールドです。五輪競技としては「トラップとスキート」の2種目となっています。
クレー射撃を始めるまでに、少なくとも20万円以上のお金が必要となります。これには、銃砲所持許可・初心者講習会・教習射撃などの受講費用、散弾銃や各種必須アイテム一式を全て含みます。最も高いのは銃の価格なので、新銃にするか、中古銃を選択するかによっても初年度の費用は異なってきます。
いいえ。クレー射撃というスポーツは、どう楽しむかによってかかってくる費用が違うので、高級な散弾銃を追い求めれば金持ちじゃないと厳しいですが、射撃場でクレー射撃を楽しむ程度なら、バイクでツーリングを楽しむのに近い金額感で十分に楽しむことができます。
免許なしでできます。日本でクレー射撃をするのに必要なのは「銃砲所持許可」です。免許が必要なのは、クレー射撃ではなく「銃猟(狩猟)」をする人たちですので、資格取得のハードルを感じている方は勘違いなのでご安心ください。