在来種「ニホンイタチ」と、外来種「チョウセンイタチ」の違いについて、外見や特徴など見た目による違い、生態や習性の違いまで端的にわかりやすく解説。狩猟鳥獣判別の勉強にもなると思いますので参考にしてみてください。
ニホンイタチとチョウセンイタチの違い
ニホンイタチ(Mustela itatsi)とチョウセンイタチ(Mustela sibirica、別名:シベリアイタチ・タイリクイタチ)は、見た目や生態が非常によく似ているため、一般の方には区別が難しい動物です。しかし、両者は外見・生態・分布・生態系への影響など、いくつかのポイントで明確な違いがあります。ここでは、両者の違いについて、専門家レベルで網羅的に解説します。
外見・体の特徴
特徴 | ニホンイタチ | チョウセンイタチ(シベリアイタチ) |
---|---|---|
体長 | オス:約30~40cmメス:約25~30cm | オス:約35~45cmメス:約30~40cm |
体重 | オス:約350~400gメス:約200~250g | オス:約650~850gメス:約360~430g |
尾の長さ | 体長の半分以下(全体の約40%以下) | 体長の半分以上(全体の50%以上、最大21cm) |
体色 | 茶褐色~暗褐色 | 黄褐色(やや褐色がかった山吹色) |
顔の特徴 | 目の周りに灰色の毛、口周りが白い | 目の周りが灰色、全体的に白っぽい |
毛質 | 柔らかい | やや粗い |
ポイント解説
- 尾の長さが最も分かりやすい違いです。胴体の半分より短ければニホンイタチ、長ければチョウセンイタチです。
- 体重はチョウセンイタチがニホンイタチの約2倍と大型です。
- 体色はニホンイタチが茶褐色、チョウセンイタチが黄褐色で、黄色味が強い方がチョウセンイタチです。
生態・習性の違い
- 活動時間
ニホンイタチは昼夜問わず活動しますが、チョウセンイタチは夜行性の傾向が強いです。 - 食性
両者とも雑食性で、ネズミやウサギ、鳥類、両生類、魚類、果実など幅広く食べます。 - 繁殖
繁殖期はどちらも春(3月~5月)で、一度に4~5頭(多いと10頭以上)を産みます。 - 生息環境
ニホンイタチは主に川や湖沼などの水辺を好みますが、チョウセンイタチは森林・畑地・水田・市街地など幅広い環境に適応しやすいです。
分布・由来
- ニホンイタチ
日本固有種で、本州・四国・九州・佐渡島などに広く分布しています。 - チョウセンイタチ
元々はユーラシア大陸東部(シベリア、中国、朝鮮半島など)原産ですが、毛皮目的で日本に持ち込まれ、現在は特に西日本を中心に在来種の生息域を圧迫しています。
生態系への影響・外来種問題
- チョウセンイタチは外来種
日本の生態系や在来種(ニホンイタチ)への影響が大きいことから、「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれています。 - 在来種との競合
チョウセンイタチの分布拡大により、ニホンイタチの生息域が縮小しているという報告もあります。
見分け方のまとめ
- 尻尾の長さで見分けるのが最も簡単。胴体の半分より短ければニホンイタチ、長ければチョウセンイタチ。
- 体色で判断。茶褐色ならニホンイタチ、黄褐色ならチョウセンイタチ。
- 体格でも判別可能。大きくてがっしりしていればチョウセンイタチ。
補足:知っておきたいワンポイント
- 遺伝子的にも別種
ニホンイタチとチョウセンイタチは染色体や遺伝子レベルで全く異なる動物です。 - 市街地での被害
チョウセンイタチは市街地にも適応しやすく、農作物や家畜、ゴミ荒らしなどの被害例が増えています。
まとめ
ニホンイタチとチョウセンイタチは、見た目も生態もよく似ていますが、尻尾の長さ・体色・体格・分布域・生態系への影響など、さまざまな違いが存在します。特に、外来種としてのチョウセンイタチの問題は近年深刻化しており、在来種の保護や生態系バランス維持の観点からも注目されています。観察や被害対策の際は、これらの違いをしっかり押さえておくことが重要です。