狩猟をはじめる人へ、狩猟免許の取得と必要な費用がいくらなのか、4種類の免許について取得費用だけではなく猟具や装備品~猟友会等への登録などの必要経費について細かく解説。
はじめて狩猟の世界へ足を踏み入れる場合の『初年度総額』、2年目以降に掛かる『毎年の総額』について各資格ごとに、相場がわかりやすいようにリサーチした結果がチェックできます。
狩猟免許とは、どんな資格なのかということをおさらいしながら、計画的に楽しむための準備をすすめていく参考にしてみてください。注意点なども掲載しているので、狩猟と資格、猟具など全般についてまとまった情報を御覧ください。
目次
狩猟免許とは?
狩猟免許というのは、文字通り『狩猟をする』ために必要な免許のことで、以下の4種類の免許状があります。
- 第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)
- 第二種銃猟免許(空気銃)
- わな猟免許
- 網猟免許
これら4つの免許の大きな違いは、狩猟に用いる「猟具」で、銃砲を使うか罠のように仕掛けを用いるかによって異なります。
各免許のは講座を通じて取得する方法と、試験のみを受けて取得する方法があり、狩猟免許の講習会は大日本猟友会と各都道府県にある支部が主体となって開催しています。(警察主催もあり)
狩猟を行う許可になる免許自体の発行は、各都道府県知事の名のもとに発行されることから、試験には自治体が関わることになります。
狩猟について調べている方はお気づきかもしれないですが、環境省がハンター人口を増やすための啓蒙活動を行っているので、環境省が管轄しているかと思われがちですが、実際は猟友会と自治体が協力して推進しています。
免許を取る前の
お役立ち情報
試験の種類は3つで、①知識試験、②適性試験、③技能試験で構成されています。試験問題の回答方式は『三者択一』となっています。合格条件はシンプルで「知識試験と技能試験の正答率70%以上」かつ、適性試験を全項目において個別の基準を満たすことで合格となります。
狩猟を行う者として、猟具等の装備を安全に扱うことはもちろん、そのための知識として欠かすことができないのが『鳥獣保護管理法/銃刀法/火薬類取締法/地方税法/電波法』です。書店や銃砲店で、狩猟をする人向けのガイドや教書が500円~1,000円程度で売られているので参考にしてみてください。
狩猟の資格試験の合格率は概ね80%と言われています。テキスト自習のみで、初受験して不合格の人が一定数いるようですが、猟友会が開いている講習会に参加した人の合格率は90%を超えるとも言われています。(ちなみに、問題は猟友会が発行しているテキストからしか出ませんのでご安心を!)
狩猟免許の取得に必要な費用<総額>
狩猟免許取得~猟師として、銃やわななどによる猟を開始するために必要な、全ての準備が整うまでを『初年度総額』、翌年から毎年必要になるお金を『毎年の総額』として表にまとめました。(下の表)
第一種銃猟免許 | 第二種銃猟免許 | わな・網猟免許 | |
---|---|---|---|
初年度総額 | 251,500円 | 169,600円 | 88,000円 |
毎年の総額 | 36,000円 | 21,100円 | 22,800円 |
※.補助金を支給してくれる市町村がありますので、数万円を節約できる場合があります。
初年度総額には、銃や罠の本体・ガンロッカー・射撃教習受講費など高価格な項目が含まれるため、初期投資額は他の趣味と比べて高めです。また、猟師登録する自治体や加入する保険など、金額が異なるため最低限必要な金額を掲示しています。
狩猟免許取得費用の内訳<初年度>
- 狩猟免許取得費用 ・・・ 17,500円
- 猟具
- 第一種銃猟 ・・・ 200,900円~(銃所持許可:115,900円/銃購入:50,000円~)
- 第二種銃猟 ・・・ 131,500円~(空気銃所持許可:51,500円/空気銃購入:80,000円~)
- わな・網猟 ・・・ 所持許可:不要/猟具購入:50,000円~
- 狩猟者登録税(手数料:1,800円 ※自治体毎に異なる)
- 第一種銃猟 ・・・ 16,500円
- 第二種銃猟 ・・・ 5,500円
- わな・網猟 ・・・ 8,200円
- 猟友会共済費(or 保険) ・・・ 損害賠償能力証明に必要(3,000万円以上の保障が可能か)
- 第一種銃猟 ・・・ 14,800円
- 第二種銃猟 ・・・ 13,300円
- わな・網猟 ・・・ 12,300円
※. 猟具/狩猟者登録関連費用/共済・保険料は、地域や団体によって異なるため、多少の上下が生じることがあります。
▼参考になる記事
銃砲所持許可の初心者ガイド≫
狩猟免許ごとの初期費用総額
第一種銃猟免許
初期費用:16~27万円
第二種銃猟免許
初期費用:13~46万円
わな・網猟免許
初期費用:7~12万円
補足説明
各種免許所得にかかる初期投資となる総額は、道具類の相場を加味した金額を掲載しており、どんな道具(実銃/空気銃/わな)を選ぶかによって上下します。
狩猟免許1「第一種銃猟免許」について
狩猟免許の中でも最高峰の国家資格である「第一種銃猟免許」は実銃を所持し、獣を駆除する権利・知識・スキル・道具を有する者であることの証明ですが、取得後に「思っていたのと違った!」というギャップが発生しがちな注意点が3つあるので紹介します。
▼3つの注意点
- 銃所持免許=実銃を所持する必要が発生する!
- 銃猟入門者の単独狩猟は危険がいっぱい!
- 初年度~10年間は散弾銃のみでライフルNG!
興味本位で「銃を撃ってみたい!」「ライフルで獲物をゲットしたい!」「資格とればOK!」と考えてる方が急増しています。その原因として挙げられるのは、下記のような狩猟・個人を取り巻く環境の変化に他なりません。
- アウトドアブームの到来・加速
- 猟ガールやユーチューバー動画の影響
- 後継者不足を狙う次世代の増加
- ジビエ料理の流行
- 合法的に実銃で生き物を撃つ唯一の方法
この他にも、狩猟を楽しみながら、クレー射撃にも挑戦したいという人も増えてきています。オリンピック競技の中でも、若年層でなくても挑戦できるスポーツとして知名度が上がってきています。
誰もが最初は「ド素人」です!そして目的や動機も様々です。多様性を許容することが求められている狩猟の世界において、入門者が事前に知らないと、損してしまうことが『これらのギャップ』です。くれぐれも注意してください。
狩猟免許2「第二種銃猟免許」について
銃砲を扱う狩猟の中で、比較的とっつきやすいのが「第二種狩猟免許」です。使う道具からエアーライフル資格という人もいますね。この資格ですが、目的を間違うと、非常に残念な損をすることになるので注意が必要です。
- イノシシ/鹿/熊の猟には不向き
- 大物なら罠で捕まえ、エアライフルで息の根を止める程度
- 主眼は鳥獣駆除がリアル
- 雨風など天候の影響を受けやすい
- 威力が弱い(殺傷力が低い)
エアーライフルというのは「空気銃」のことですが、BB弾を発射する玩具とは全くことなり、動物を殺傷する能力がある銃を指しています。しかし、火薬を使う実包とはことなり、弾速を含む威力面では第一種銃猟免許保持者が使う、散弾銃やライフルには遠く及びません。
そのため、火薬は怖いけど、空気銃なら始めやすいと考えている入門者にはうってつけの資格です。主な獲物は鳥類などの小動物。罠猟の猟師が、捕らえたイノシシや鹿を「ナイフで止め刺し」する代わりに、エアーライフルを使うといった場合もあります。
ここで一点「注意」があります!イノシシや鹿を止め刺し代わりに、空気銃を使うことは可能ですが、何発も弾を撃ち込む必要が発生する場合があり、動物を苦しませることに繋がる可能性が否めません。オススメは、第一種銃猟免許を取得して、実銃により「できる限り楽に絶命させる」ことですので、事前に目的に合うかを考察してください。
狩猟免許3&4「わな・網猟」について
狩猟の世界に入門する際、心理面・金銭面など、あらゆる面で最もスタート時のハードルが低い資格が『わな・網猟』です。くくり罠や箱罠などを中心に、様々な道具があり、自家製の罠を使う人も多く創意工夫が猟果に活かされる分、楽しみも多いと言われます。
それでも、やはり注意点は複数あります。
- 止め刺し=「電気ショック」or「ナイフ」の二択くらい
- 止め刺し時に怪我をするリスクは高め
- 下見、罠設置、監視、回収など手間がかなり多い
- 罠の清掃やメンテナンスが大変
- 箱罠の場合は軽トラが無いと始めにくい
これだけの注意点があっても、肉の鮮度(どのみち駆除するなら大切なポイント)を保ちやすいのは、圧倒的に「わな・網猟」で捕れた獣です。
猟犬をつかうような銃の狩猟ではないので、経験と勘、何よりも自然の知識が猟果を大きく左右します。ただし、わな・網猟の場合、先人が沢山いるので、猟友会に加盟すれば優しく教えてくれるお父さん達に弟子入りできるのが安心ポイントです!
基本的に、第一次産業界隈の先輩達は「言葉使い=悪い」ですが、「心=やさしい」です。表現が下手な人が多く、職人堅気な感じなのです。
猟友会を悪くいう方がいるようですが、正直、野球など厳しい部活動の経験者以外は、始めのころは、コミュニケーション様式が違いすぎて勘違いすることがあると思います。
ただ、そんなときは、時間をかけてみてください。メッチャ優しい人がおおいです。(かなりわかりにくいですけどねw)
狩猟免許の費用と注意点に関するまとめ
狩猟免許の取得、そして、取得して初年度に掛かるお金の総額と内訳などについて紹介してきました。ここでおさらいしたいことは、銃の所持許可を取得したら、所持しなくてはいけないと言うことです。
所持したいから、警察署に申請をして、所持の許可を取得する訳ですから・・・願いが無かった人は必ず所持してくださいね。っと、そういうことなのです。
ただし、要らなくなったときは、速やかに手続きを行い、所持許可を返納。銃器を売却するなどして、手元には銃砲が残らない状態を作る必要があります。
ただし、そのような場合でも、狩猟免許は別物と考えて良いでしょう。(実際に挑戦した人を知らないのですがおそらくは)
狩猟資格が取得できる機会は、意外と多く、近場にある銃砲店や警察署のホームページで講習会の案内を手に入れることができますので、最新の情報はいずれかのホームページや店頭で手に入れましょう。
ネット化が極端に遅れている業界なので、情報集めは本当に大変です。当サイトは有志で運営しており、今後、じゃんじゃん情報拡充していくつもりです。宜しかったらブックマークやシェアをお願いいたします。
最後まで読んでくださって有り難うございました!!
猟友会に関する記事
これから狩猟免許を取得する場合、支部/地域猟友会に連絡をとる方のために、都道府県を管轄する猟友会を47都道府県分リストアップしました。また、猟友会へ入会することを検討する際に、一度はチェックしていただきたい内容についても記事化しておりますので参考にしてみてください。
狩猟免許の費用について「よくある質問」
狩猟免許だけなら『17,500円』で取得できます。国家資格の種類には、第一種銃猟/第二種銃猟/わな/網猟の4区分があり、取得後に必要な費用があるので、記事内「狩猟免許取得費用の内訳」を参考にしてみてください。
狩猟免許には4区分あり、特に銃猟免許を使う猟をはじめる場合は、散弾銃やライフルの値段によっても大きく変わります。少しでも安く始めるには、自宅から近い銃砲店を訪問して、お店の人に在庫情報や地域ごとの助成金(免許取得向け)などの情報を教えてもらうのが手っ取り早く効果的です。
狩猟免許を取得後は、猟具の購入費や保険加入など、追加でお金がかかることがあります。他にも、銃猟免許を先に取得した人は、銃砲所持許可を取得するために経費がかかるので、「銃猟免許の他に何が必要?銃砲所持許可が無いと狩猟は始められない」の記事も確認してみてください。
いいえ。実際に猟を始めるためには、自治体に狩猟者登録をしたり、保険に加入するなどやることは他にもあります。特に、第一種/第二種の場合、警察が発行する銃砲所持許可の取得も必要なので、狩猟免許より先に所持許可を手に入れることをおすすめします。
狩猟免許だけなら『17,500円』で国家資格を取得可能です。この金額は、第一種銃猟/第二種銃猟/わな/網猟の4区分、すべて共通ということを覚えておきましょう!!